60年代のカーラジオはtwitter的かもという話。-「アメリカングラフィティ」-


「1962年の夏、あなたはどこにいましたか?」

監督:ジョージ・ルーカス
出演:リチャード・ドレイファス、ロン・ハワード、ハリソン・フォード

青春群像劇。
それこそ、86生まれの僕なんかは「ウォーターボイーズ」とか思い出してしまう訳ですが、僕ら両親の世代はこの「アメリカングラフィティ」なんかがピッタシ当てはまったりするのかもしれません。

この作品「アメリカングラフィティ」は、1973年にあのジョージ・ルーカスがメガホンを取り、大ヒットした神曲ロックオンパレードの名作。地方のハイスクール卒業後、大学に通う為に都市へと旅立つその前夜の若者達を描いた、恋愛と友情が絡み合うこの青春映画では、彼らの主要メディアとしてカーラジオが描かれています。

時代は60年代の田舎町。
車は持っていて当然(というか無いなんてありえなくね?的な。)で、夜な夜な街のドライブインに集合しては各々車に乗って街を右往左往しながら友との出会いを楽しむコミュニケーションが理想(「イケテルやつら」としての)だったようです。

そこに登場するカーラジオ。

それが今の時代の「携帯で楽しむtwitter」と少しばかり共通点があったり。

◆携帯性
常に車と一心同体で過ごす彼らにとって、どこに行くにも車は「携帯するもの」として描かれます。まるで今の時代の僕らの携帯電話のようです。

◆ リアルタイム性
みんながみんな夜中は車にのって街をウロウロしているわけだから、カーラジオは「仲間みんなが“今”まさに聴いているもの」としての認識の上に存在している訳です。だから、そこに載る情報は自分が享受したのと同じ瞬間仲間も受け取っている、と信じている訳ですね。

◆個人の情報発信ツール
しかも、「携帯される」カーラジオは、時としてコミュニケーションするメディアにもなります。作中主人公が街で見かけて一目惚れしつつも接点の持てない意中の相手にメッセージを届けるため、ラジオ局に乗り来んでは「このメッセージを今夜流してくれ」と懇願します。
もちろん、乗り込まなくても、車を止めて電話してもOKなわけで、情報を載せる事が出来るメディアであり、コミュニケーションのツールとして機能していたという特徴がある訳です。

作中でも、そこに情報を載せたところ、相手も当然のごとく(街を徘徊する車の中で)ラジオを聴いているので、指定した電話番号に連絡が入ることになります。

それこそ、今の時代は
携帯電話を持って外に出て、
twitterは仲間がちょくちょくリアルタイムにチェックしてると信じていて
そこに個人が情報をのせちゃう。

「今から誰々の家にいくけど、誰か一緒に行く人~?」

なんてつぶやいて、友達を募集したりして。

もちろん、当時のカーラジオなんてソーシャルグラフも無いし、「いつでもどこでも手軽に情報発信できるユーザビリティー」とか「発信できる情報量の爆発的増加」みたいな点で、今のtwitterとは比べものにならないくらいの「劣った」コミュニケーションツールなんだけれども、「携帯性」と「リアルタイム性」の特性を持つ「個人の情報発信ツール」として機能しているメディアは昔からあったんだよなぁということをこの作品は再認識させてくれました。

その後、ドライブイン×カーラジオの時代はメディアと娯楽の多様化によって終焉を迎え、テレビの登場によって「家でそろってみんなでテレビ」なんていう文化が当たり前になり、「場所が固定されていて、個人が情報をのせることが出来ないもの」が「みんなのメディア」になってしまったわけです。

だから、今の時代になって、頭の固い大人達が若者の行動を見て、

「(ソーシャル)メディアで個人と個人が繋がっていくなんて!」
「リアルタイム?そんなもの大変だしよくわからんよ!」

とかいって頭ごなしに(否定的な意味ではなく)「最近の若い奴らは」なんていうのはちょっとおかしな話なんですよね。

60年代にそれこそ田舎のアメリカでやっていたようなことが、今ソーシャルメディアでより効率的にできるようになっただけなんですよ、と。

60年代のカーラジオと、今みんなが持っている携帯上のtwitterは、そんなふうに近しい部分があるとおじさんたちに知ってもらえれば、また彼らからも違った反応があるのかもしれないですね。

ほとんど作品の話はしてませんが、なかなか良作ですので、時間があるときにでもご覧ください。

どうでもいいですが、若かりしころのハリソン・フォードも拝めます。

◆追記
ただ、改めて思う事ですけれども、

映画の中で示される当時の人間と人間の繋がりが今は「見える形になっていて(可視化)」、人々の「コミュニケーションを蓄積できる(ログ化)」というのは、あらためてむちゃくちゃ革新的なわけなんですね。

ついつい今を生きてばかりいると「今が当たり前」となってしまいますけど、少し古い時代の人間関係とメディアを見ることで、今一度冷静にそういった凄さを再認識できます。

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