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パンドラの箱-「アバター」-

(物語にも触れていますのでご了承下さい。) 観るのではない。そこにいるのだ。 監督:ジェームズ・キャメロン 出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー パンドラの箱という話。 決して開けてならないという箱をパンドラが好奇心から開けてしまい、この世にありとあらゆる災難・苦悩が飛び出してしまった。びっくりしてすぐ閉じたが最後に残ったのは「希望」だけ、というお話。 (「予兆」だった、という話もあったりしますが。。。) ただ、そんな希望があるからこそ災難や苦悩をも乗りこえて行ける。 そんな「パンドラ」の名のついた地球のような衛星に、資源開発という「侵略」を人々が行うという話。それがこのジェームズ・キャメロン監督による「アバター」です。 パンドラに暮らすナヴィというヒューマノイドの民族と人間のDNAを合わせて作りだしたハイブリッドの肉体に脳神経を接続し、その肉体を操作する役目を担う一人となったマリーン出身の主人公。その主人公は偶発的な事故からその肉体を操作してナヴィ族に混ざることとなり、彼らの文化・言語などを習得していく。資源開発と自然との共存、そういった壮大なテーマを、押井守監督をはじめ多くの人々が絶賛する3D技術を用いて描いていくという総製作費3億ドルの超大作。 ジェームズ・キャメロン監督がこの脚本を考えたのは1995年。つまり、彼が「ターミネーター2」を製作し終えた後であり、「タイタニック」を完成させる前。 「ターミネーター2」で描かれた世界は、機械が人間を支配する世界から送りこまれたロボットと人間の友情であり、闘いでした。つまり、機械や技術の発達に情熱を注ぎすぎるあまりに人間性を失いつつある社会へのアンチテーゼでもあったわけです。 「I’ll be back.」 と発したシュワちゃんを見た人々は、人間が持つ、機械をも凌駕する動物的な「感情」とか「心の力」などの力強さと可能性を感じることができたはずです。そんな物語の次に、この監督が描こうとした世界がこの「アバター」であったというわけです。 人が機械に支配されるようなターミネーター的な世界が来なかった場合はどうなるだろうか。人がうまく機械や技術を支配する世界が続けば、そこにはどのような危険があり、またその危険を回避する術は一体何なのか。そういったことをこの「アバター」では、人間の欲望と破壊されうる自然を人間とナヴィに投影することで、見事に描いてくれています。 また、1995年に脚本の原案が完成したものの、3D技術の発達を待ち、また自らも開発に尽力してようやく今年完成となった「アバター」には「9.11」にまつわる一連の出来事を彷彿とさせるシーンも多く含まれています。 ナヴィ族の心の象徴であるホーム・ツリー。それは、ニューヨークにそびえたっていたワールド・トレード・センターであり、その崩壊を目の当たりにする人々の反応(各放送局が流したニュース映像やクリント・イーストウッドによる「ワールド・トレード・センター」)はホーム・ツリーの崩壊を目の当たりにするナヴィの人々の映像と重なり合います。 また。作中「悪役」として描かれる大佐はこのような言葉を発します。 “We fight terror with terror.” その言葉は人類の歴史を表しているとともに、テロに対してテロで報復を加えたアメリカ率いるアフガン・イラク戦争を支持した今の世界にとって心が痛むセリフとなっています。 パンドラという星。 木々と大地が不思議なネットワークで繋がっている非常に神秘的な星として描かれるわけですが、少し冷静になって考えると、パンドラと同じもしくはそれ以上に魅力的で神秘的な「地球」という場所に自分たちも生きているわけです。 皇帝ペンギンの大行進。 イルカ同士のコミュニケーション。 ガラパゴス諸島。 作中、主人公達は「知る」という行為によってナヴィの立場へと立つことになります。太平洋戦争後、アメリカは日本を民主化する上でルースベネディクトの「菊と刀」をはじめとし、日本人をまずは「知る」ことに重きを置いたように、人々はもっともっと「知る」という行為の大切さを再確認しなければならないということを教えてくれます。にもかかわらず、異国はもちろん自国にも数多く存在している地球(自然環境)の神秘、影響、そしてそれらが直面する課題を「知ろう」というモチベーションは低いまま。 そんなメッセージは作品のテーマ曲のタイトルである「I see you.」からも見て取れます。(この曲はタイタニックの「My Heart will go on」を手掛けたジェームズ・ホーナー氏とサイモン・フラングレン氏によるもの。) ただ、この「知ること」=「分かること」ということはどういうことなのか。頭で理解してもなかなか人々は動き出しません。それはこのテーマ曲が語るように、またナヴィ族が語るように「心や魂で感じること」が必要であるという結論へと行きつきます。 … Continue reading

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